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「まあまあマリア嬢・・・少しはこれでも飲んで落ち着いたらどうだね?」
「ちょっとディスキンス!ワタクシはいつでも平常心なのが売りですわよ!!」
リーエのいつもの茶番で揶揄われたマリアが憤慨しながら出されたお茶を奪い取ると、それは初耳だね?と両手を広げたディスキンスは苦笑いを浮かべる孫娘のアンナと顔を見合せフフッと微笑んだ。
「それはそうと・・・ディスキンスにアンナ!先月の売り上げ報告書を見ましたが何ですのあのヒドイ数字は?」
「いや・・・ちょっと説明させてくれないか!?実は有る貴族から大口の装飾品の依頼を受けていて・・・」
急に怒りの矛先が向いたディスキンスが慌てて両手を振りながら誤魔化そうとするとジロっと睨みマリアからお黙りなさい!と叱咤されると、ああもう・・・と呆れた声を上げるアンナの背中へとディスキンスは隠れたので有る。
「だから受けるの止めようって言ったのに・・・」
「五月蠅いぞアンナ!良いかアレは最高品質のマナタイトなんだぞ・・・それを砕いてわざわざネックレスにする為に細工してくれなんて!?」
「まあ・・・イカてるね?魔法も使えないのに勿体ないって・・・」
「そうだ!イカれてはいるがこのネックレスは唯一無二でこの私がカッティングしたんだから絶対に気に入る筈だ!」
首を振るアンナと話し合っていたディスキンスからそんな声が上がると、それで?と腰に手を当てたマリアは首を傾げながら続ける。
「予算と報酬に期限・・・ちゃんと決めて受けたのですよね!」
「いや・・・こういう仕事は気分が乗った時じゃないと・・・」
そう言いながら困った顔をするディスキンスにマリアはこのブルーハート商会の出資者として頭を抱えた・・・
「あのですねディスキンス・・・ワタクシも貴方が作る芸術とも言える武具に装飾品の数々はとても素晴らしいと思いますが、流石に凝り過ぎですわ!」
「それが私の流儀だ!?それに・・・マリア嬢はそれを含んだ上で、ブルーハート商会の実質的なオーナーとなったのでは無かったかな!」
「ええそうですわね・・・ですがワタクシもリスクを負っている以上はちゃんと利益を出してもらわないと困りますわ?」
正確にはブルーハート商会の現当主はディスキンスの息子でアンナの父親で有りマリアがオーナーとなったのはその彼が老後を楽しむ為に趣味で営んでいた店で有る。
「これはオーナーとしての命令ですから良く聞きなさいな・・・ディスキンス」
「分かったから早く言ったらどうだね・・・・」
「それでは・・・取り合えずマネジメントの事はアンナに任せますわ。」
急にそんな事を言いながらクスっと悪戯っぽく微笑むマリアに唖然とするディスキンスよりも先にその孫娘で有るアンナから驚く声が上がった・・・
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