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プロローグ
「お母様に頼まれて仲良くしてたのに要くんはつまらないことしかしないし、ご両親にちっとも会わせてくれない。
家柄しか価値がないくせに」
冷たい声で告げられた言葉に体の体温が急激に下がったのを感じる。目の前の彼の言葉は現実だと言うのに脳は嘘だと訴え続けている。
なんで?母さん達に会いたいと言われる度にもしかしたらと思ってた。でも、違ったはずだ。
いや、違ってはいなかったのかもしれない。
僕がただ信じたくなかっただけなのか。
は、と細くかすれた声が出る。
それと同時に────頭でなにか切れる音が聞こえた。
去っていった彼の後ろ姿を見つめた後の誰もいない教室はすごく寒い。
また、裏切られた。
これで何度目だろう。数えるのもめんどうだ。
あぁ
もういいや
もう誰も信じたくない
帰り道に見た夕焼けは薄い色をしていた。
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