第一章

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第一章

「皆さんご入学おめでとうございます。生徒会長の宮川要です。いい学園生活を送れることを祈ります」 体育館に明るい声が響く。新入生のみんなは期待に満ち溢れた目でこちらを見ていた。 我ながらいい挨拶だった。みんなにいい印象を与えるにっこりとした笑顔で話せた。 ふぅと一息付き役員席で司会の言葉を聞く。 本日は快晴。入学式日和の一日だ。 「続いて風紀委員長の稔世 信引(なるせ しいん)さんお願いします」 ポニーテールで括っている長い白髪の髪を揺らしながら3年の稔世先輩が壇上に上がる。2年生の頃から風紀委員長をしている彼はこの学園の有名人でみんなから信頼されている。ボクにとって凄く尊敬できる先輩だ。 軽く息を吸って稔世先輩がどうも。と話し始める。その一言で体育館中が(あお)に包まれる。こういうところを見るとさすが以外の言葉が出なくなってしまう。 「風紀委員長の稔世だ。髪型服装等は基本自由だが、暴力沙汰等だけは起こさないように。風紀を乱す時は俺を敵に回すと思ってくれ。 せいぜい落ち着いた学園生活を送れるといいな」 稔世先輩が壇上を降りる。目で追っていたボクと目が合う。赤色のルビーのような瞳に見られると全て見透かされているようで背中がゾッとする。 …何も知られてないといいけど。 頭の片隅でそう呟き、ふと先程のスピーチをぼんやりと思い出す。 こんなふうになれたらいいなぁ。そしたら裏切られることもないのに…。 今日はやけにマイナスな思考になってしまう。何故だろうか。とりあえず今は考えてはダメだ。 式に集中しよう。 どんよりと下がってしまった気分を上げ、視線を壇上に戻す。考えている間に入学式は終わりに近づいていた。 「これにて入学式を終了致します。お疲れ様でした」 司会の言葉を聞き、生徒会室へと足を進める。
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