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ピピピッ
目覚ましを止め体を起こす。
カーテンから覗く空に相変わらず色はない。
寝室を出て洗面所に顔を洗いに行く。
いつもよりゴシゴシと顔を洗う。
傷つかないようにしないといけないのになぁ。
昨日の入学式で色々堪えていたのだろう。無自覚とは怖いものだ。
ふと目を上げると鏡に映る自分と目が合う。
黒い髪に黒い瞳…。本当だったら海のようにキラキラとしていたはずの目は僕から見るとすっかりモノクロになってしまっている。
光を失った目。
正直なところ何も見えないくても良かったと思う。なぜ見えるんだ。見えないほうがシアワセなのに。神様は相変わらず余計なものを与えてくる。
起床の時間を示すチャイムが聞こえ、はっとし準備に取り掛かる。僕らしくないバタバタとした足音を立てながら部屋を回る。
この希望学園は男子校で全寮制。たくさんの財閥の子供がやってくる山に囲まれた学校だ。生徒会長を務める僕は一人部屋。他にも風紀委員長や生徒会役員、あと各委員会の委員長も一人部屋になっている。今言った者は"役職持ち"とも呼ばれていてみんな美形だ。
そうこう言っているうちに準備は終わり。時計の針が指す数字を見てほっと息を漏らす。靴のかかとをトンっと鳴らし部屋のドアを開ける。
一日のスタートだ。
ガチャりとドアを開け何度か瞬きをして世界を彩らせる。
今日もボクを忘れずに。
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