守護神の選択

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部活はサッカー部。でも1年生は走り込みと筋トレばかりですぐイヤになった。早くボールを蹴りたいのに。ずっとランニングなんて面白くもなく苦しいばっかり。 なあ、守護神くん、頼むよ。 ボクは空に向かって拝み、さぼって逃げ出した。こうすれば代わりに何とかしてくれるはず。あいつは頼りになるから。 会えないままだけどそれが1ヶ月も続いた頃、新人戦のメンバー発表の日がきた。その前夜――枕元にあいつが立った。こっちを見て何か口が動いてる。 まかせとけ、かな。うん、絶対そうだ。 「では今度の新人戦のメンバーを発表する」 顧問が名前を呼び上げた。ボクの名前も呼ばれた。やったあ! ……え、補欠? 何だよ。レギュラーじゃないのかよ。 ロッカー室に戻ると天井からあいつが見つめてる。ボクはそこめがけてボールを蹴っ飛ばした。すると彼はスッと姿を消し、ロッカーの隙間からまた見つめてきた。ボクがにらむと、あいつは目を伏せ、口を動かした。 ごめんなさい、かな。声になってないから何て言ってるかわからない。でもきっとそうだ。ふん、謝っても許してやんない。
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