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玲美ちゃんの両親への結婚挨拶。その前夜、眠ろうとしても眠れなかった。
ダメだ、いくら払ってもいい、守護神の彼に頼ろう。
玲美ちゃんのお父さんは警察官の偉い人で、ものすごく怖くて、ボクは遠くから眺めただけでちびりそうになった。
その人が、彼女とボクとの結婚を反対している。挨拶の日程が決まってから心臓が口から飛び出しそうな動悸が続き、3日前から何も喉を通らない。一気に痩せて、声もしゃがれた。
そう懇願すると、なるほど、と守護神くんはうなずいた。
プレゼンのやり直しのときに30万も取られたんだ、今度は100万と言われようが――。え、200万? そんなん、持ってない。
「部屋を圧迫してるその……団体フィギュア? 売ればそのくらいになるだろ?」
ボクの宝物。子どもの頃から小遣いでちまちま少しずつ集めて、今や壮大なコレクションになっているこれを、売れと?
「僕には不用品に見えるからね」
背に腹は代えられない……ボクはそれらを売るしかなかった。
「玲美ちゃんの親父さんに立派な挨拶をして好感度を高めて打ち解けて結婚の許しを得る。ミッションは果たすよ」
200万を受け取った彼はそう息まいて出かけて行った。ボクは本気で具合悪くなって寝込んだ。熱も上がった。
それから、彼は帰ってこない。
熱は下がらず、動悸も収まらず、食欲不振も変わらず。
10日後、ボクは部屋で一人こと切れた。
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