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ボクの代わりに彼女の両親に、ボクには絶対にできないような立派な挨拶をし、気の利かないボクには絶対思いつかない珍しいみやげを渡して喜ばれ、ボクには備わっていない聞き上手の才能と、ボクとは雲泥の話題の豊富さで瞬く間に打ち解け。もちろん好感度は百倍増。
そして守護神くんは、そのままボクと入れ替わってしまった。玲美ちゃんと結婚したのも彼、幸せな家庭を築いたのも出世したのもマイホームを手にしたのも彼。
酷いじゃないか。それでも守護神か。恥ずかしくないのか。おい。おおい!
彼は、振り向かない。ボクの叫び声が聞こえないかのように無視する。でも、聞こえていた。だって背を向けたまま言ったから。
「僕だってこんなことを最初から考えていたわけじゃない。僕はただ、最初に君に『ありがとう』と言われたのが本当に嬉しかっただけなのに」
――そうだった。宿題を片付けてくれた時、心から嬉しかった。感謝した。本気で君を尊敬した。なのに。
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