麗子の現状

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「うわぁ、いいなぁ。先輩幸せそうっすね! ゼミにいたころにはそんな顔してたとこ、見たことないですよ!」  富永くんに突っ込まれて、俺は慌てて表情筋を引き締めた。 「良いなぁ、宇佐見先輩って富永先輩と被ってたんだ。ってことは、私がもう2年早く生まれてたら、先輩と同じゼミだったってことですよね? そしたら私にもチャンスがあったってことですかね?」  冗談めかして唇を尖らせる三森さんに俺は大きくかぶりを振る。 「いや、在学中は全然モテなかったからね。多分君も、当時の俺には見向きもしないと思うよ?」   「宇佐見先輩は確かに社会人デビューってやつですよね!」  デビューという言葉に麗子の持っていたファッション雑誌を連想した俺は、苦笑いしながら富永くんの言葉に頷いた。   「みんなが知ってるってことは、まだ麗子はこのゼミにいるの?」 俺が尋ねると、富永くんは乾いた笑いを浮かべた。 「ええ、いますよ。でも三年前とは全然立場が違いますけどね?」 「立場が違う?」  不思議に思って聞いてみると、俺の正面に座っていた竹内くんが語り出した。 「マジお局はもう勘弁っすよ! 先輩、よくあんなのと付き合ってましたよね? 元カレの先輩に言うのもなんですけど、今じゃ完全に腫れもの扱いですよ!」 「竹内先輩もかなり粘着されて切れてましたもんね?」  三森さんがキシシッと笑うと、竹内くんは心底嫌そうに吐き捨てた。 「当たり前じゃん! お局アタック、ほんっとにしつこいんだから!」  
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