レッツ名前呼び

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レッツ名前呼び

「やっぱり普通は真也さんですよね? わぁ、でもこれ改めて名前呼ぶのってちょっと慣れるまでは恥ずかしいんですけど!」  そこまで動揺されると呼ばれた方も恥ずかしい! 「初めてじゃないじゃん? 前にも名前で呼んでくれたことあるじゃん?」 「いや、単発と継続では重みが違うといいますか」 「そんな事言わずにもう一回!」  照れてる吉岡が可愛くてつい意地悪したくなる。 「ちょっと、私ばっかりずるくないですか? 先生も私のことずっと吉岡呼びでしたよね?」 「あっ、また先生って呼んだ」 「先生が私のこと名前で呼んでくれたら私も名前で呼びますよ」 「名前呼び!? 俺が吉岡を?」 「そうです。さぁ、どうぞ!」  おっとこれは、思わぬ反撃だ! 吉岡が俺の前で両手を広げている。  さあどうぞと言われましても困ったぞ!? 吉岡の名前はハル。ママさんもミカ姉もいつも呼んでるその二文字。 「は、は……は……」 「頑張って!」 「ハル……さん」  ブワッと顔が熱くなる。顔を上げたら目の前で吉岡も真っ赤になっていた。 「名前呼び、やばいですね」 「うん、やばいね」 「破壊力が何というか……」 「うん、その後のコミュニケーションが全部破綻するね」 「焦らず行きましょうか」 「そうだね、これはおいおい練習していくしかないね」  俺たちはお互い真っ赤な顔を見合わせて照れ笑いをした。
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