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卒業祝い
翌日は土曜日。吉岡が湯浅家の卒業記念パーティーに呼ばれていったため、俺は一日予定が空いた。
手元に宿題が残っているのは気持ちが悪いので、ひとまず午前中のうちに近藤さんへ電話をかける。
「お久しぶりです。宇佐見です」
「これはこれは! 宇佐見さん。昨日はハルさんの卒業式だったそうですね。龍之介さんから聞きましたよ。おめでとうございます。良かったらお祝いにうちのアニバーサリーランチをご用意しておきますので、お二人でいらっしゃいませんか?」
そうか、吉岡の卒業祝いをしてくださるというお話だったのか! 本当に近藤さんの細やかな気配りに感心する。
「ありがとうございます。それでは3/11土曜日の11時ごろに伺ってもいいですか?」
「もちろんです。お待ちしておりますよ」
そういって電話を切る。なんだか心がほっこりする。
人の思いやりって暖かいな。昨日は真知子さんに祝ってもらった。今日は湯浅のお母さんに祝ってもらっている。今度は近藤さんに祝ってもらえる。あれ、俺まだ祝ってないのに?
いかんいかん、吉岡の卒業を祝ってくださる方がたくさんいるのは喜ばしいことだが、肝心の俺が何にもしてないじゃん!?
マラソンのスタートラインで自分の靴紐を踏んづけて転んだ気分。
よし、今日は花屋にリベンジだな。今日こそはピンクのガーベラの花束をゲットしてやる!
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