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この世には、男女の性別とは別に、アルファ・ベータ・オメガの第二の性が存在している。アルファは生まれながらのエリートでカリスマ性があり、基本的に何でもこなしてしまう者が多い。ベータはごく普通の人間で、一番人口の割合を占めている一般人だ。オメガは稀少な存在であり、何をやるにも人一倍努力が必要な人間なのである。そしてオメガには厄介な体質を持ち合わせている。その性質はアルファのみを誘うフェロモンを持ち、定期的に発情期があることだ。その期間に入れば、アルファと会うことが制限され、間違ってうなじを噛まれて番にならないように隔離される。もしオメガの発情期によってアルファも発情してしまえば、望まない事故が起きてしまう可能性があるからだ。
ちなみに僕、双葉伊織はオメガで男だ。当然クラスはオメガの生徒だけのクラスに在籍している。そして今年の春から獅子堂学園の一年生として入学したばかりだ。
獅子堂学園の良いところは、アルファ・ベータ・オメガという性関係なく学力次第で入学できるところだ。この学園に入ることができれば、自分の就きたい職にも優先的に就職できる制度もある。だから僕はこの学園に入るために、寝る間も惜しまず人一倍努力して合格を勝ち取った。
それはいい。だが、この学園の制度の中に唯一嫌いなものがある。それは「運命の番」制度だ。これはアルファとオメガの間にしか存在しない制度で、もしこの学園内に「運命の番」と呼ばれる同士が出会った場合、生涯の相手として婚姻関係になるというものだ。僕はこの制度が大嫌いだ。なぜなら、運命そのものを恨んでいるから。
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