こっちを向いて下さい。いや、ホントお願いしますから

眼鏡の女神

「っすみません！俺のせいで」

「大丈夫ですよ」

　あの日柔らかく笑っていた、黒ぶち眼鏡とショートの髪が印象的な彼女。

　俺のつまらないミスのせいで、取引先から大苦情が入り、大事な契約が白紙になりそうだった時。
　彼女は全責任をとって取引先に頭を下げ、その巧みな話術と実直な仕事振りを評価され、なんとか契約は成立。

　何度も頭を下げる俺に彼女は言った。

「大丈夫ですよ。お互い様ですから」

　眼鏡の奥に潜んでいた優しい眼差しを見た瞬間、俺は決意した。

＿＿＿＿絶対にこの女神を落とすと。