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……あー、ヤバいな。最高すぎた。
まだ半分夢見心地のまま、眠っている翔子の身体を後ろから抱き締めた。
カーテン越しに入る朝日に照らされた彼女の白い肌には、昨日俺がつけた幾つもの赤い印がくっきりと残っており、この上ない幸福感に満たされる。
「ん……」
翔子はもぞもぞと動き始め、顔は見えないけれど目覚めた様だった。
だけど俺は何食わぬ顔で、身体を離したりはしない。
密着させたまま、耳元に小さく囁いた。
「おはよ」
瞬間、石のように固まる翔子。
反応がいちいち可愛くて、ついまた意地悪したくなる。
「……昨日はすごかったね」
語尾にハートマークをつける勢いで甘ったるく囁やくと、振り向いた彼女は顔を真っ赤にさせながら恨めしそうに俺を睨んだ。
たまらずに触れるだけのキスをする。
「今日はどうしようか。家でゆっくりする?」
翔子ははにかんで笑い頷いた。
……ああ。幸せすぎる。
一緒に風呂に入ってイチャイチャして、飯食って、またイチャイチャして……
そんな極上の休日を思い浮かべていた矢先、突然部屋の中にチャイムの音が鳴り響いた。
驚いて顔を見合わせる俺達。
「誰だろ。宅配便かな?」
慌ててインナーを身につけてインターホンの画面を確認すると、そこには50代くらいの、立派な髭を生やした男が映っている。
パッと見ただけでも、画面越しでも伝わってくる独特なオーラと気品。
ただ者ではないと感じさせる笑顔。
振り向いた先の彼女は、わなわなと震えだし顔面蒼白していた。
「……もしかして」
「お父さん……」
予感が的中し、瞬く間に血の気が引いていくのだった。
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