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「あのろくでなしが入院してるって?」
「兄さん!そんな言い方駄目でしょ!」
「…ふん。」
今にも兄妹喧嘩始まりそうな雰囲気だ。
何か訳ありだと思った海斗は、どこかに電話を掛けていた。
「…もしもし。あっ、叔父さん。海斗です。拓也さんに頼まれたこと、やり終わったんだけど、お店にさ、拓也さんに会いたいってお客さんが来てるんだ。それで、どうしたらいいかなって思って。
…誰かって?
…拓也さんの子供だって言ってるよ。
…うんうん。そうだよね。
…わかった。」
電話を切ると、まだ何か言い合っている兄妹に声を掛けた。
「お取り込み中すいませんけど、ちょっといいですか?」
「何だよ。話に割り込んで来んなよ!」
「もう!兄さん!」
ぺこりと頭を下げて言った。
「すいません。何でしょうか。」
「入院先で、付き添ってくれてる人に連絡とってみたんだ。本当は、駄目みたいなんだけど、頼んで入れるようにしてもらうって。」
「同じ病室の方に迷惑なんじゃ…。」
「大丈夫。個室だから。」
海斗は、ニコッと笑って、珠美を安心させた。
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