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翌日の午後、仕事を終えて家に帰って来ていた聖也は、団体客が来る前にと、小休止しに母屋に戻ってきていた珠美に、あの本を差し出した。
「この本読めよ。」
「えっ?何?お兄ちゃんが私に本読めとか、明日、雨降るんじゃないの。」
「煩いな。昨日、メモ付けて、ここにお菓子の箱を幾つも置いていっただろう。これは、千秋さんが、あのお菓子と一緒に、俺達に読んで欲しいって送ってきたんだ。俺は読んだから、次はお前な。」
「えっ?嘘っ!もう読んだの?」
「泊まりで夜、暇だったからな。俺だって真剣に読めば、一晩で1冊くらい読めるんだよ。」
「ごめん。さすがお兄ちゃんって言うべきよね。私は、仕事の合間にしか読めないから、一気には無理かな。」
「誰も、一晩で読めなんて言ってないよ。ただ、千秋さんが、珠美が気に入るはずだって手紙に書いていたからな。ちゃんと手渡したぞ。ああ、それと、読んだら感想聞かせてくれよ。
俺は、夜勤明けで眠いから、ちょっと寝てくるわ。」
聖也は、それだけ言ってリビングを出ていった。
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