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数日後。その日は日曜で、遅めの朝食を聖也は結愛と取っていた。
「居た居た。お兄ちゃん、これ読んだわ。」
珠美は、ずいっとあの本を目の前に差し出した。
「早かったな、読むの。」
「だって、次のページが気になって、ついつい、後もう1ページ、もう1ページってやってたら、あっという間に読み終わってたのよ。ねえ、これってお父さんの話だよね?」
「お前もそう思うか?…俺もさ、そう思ったんだ。俺達が生まれる前の話を親父から聞いた事があってさ、その時の話と一緒だったからな。」
「ええっ?!私、そんな話聞いたことないよ。」
「お前は、親父のこと昔から好きだったから、俺みたいに親父の行動について、一々疑問持ったりしなかったろう。こっちに親父が帰ってきて、腹割って話が出来るようになってから、いろいろ話をしてたら、時々、昔話してくれるようになったんだ。
なあ、あの仲のいい親父と母さんが、離婚考えて、家庭内別居してたとか、信じられるか?」
「離婚なんて絶対ない。」
「だろう。でも、俺が生まれるまでにふたりの意見が食い違って、親父、国際通りの店にプチ家出してたらしいぜ。ここは、親父の実家なのにな。」
そう言って聖也は大笑いしていた。
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