南十字星は珊瑚の島の上•Ⅵ

6/24
前へ
/891ページ
次へ
「それ、読んだ感想聞かせてくれるんだろう?」 「そうそう、感想。私、読んでる途中で、これお父さんのことなんじゃないかって思いだしたら、そうとしか思えなくて…。親友って、モデルは、きっと速水さんだよね。」 「そうだろうな。速水さんから親父とのエピソード、たっぷり聞いたんじゃないかな。そうでなきゃ書けない話ばかりだよ。」 「こんな風にずっと縁が続く友達っていいね。」 「お前にもいるだろう、そういう友達。」 「そうだなぁ…お菓子メーカーに勤めてた時の友達の朱美ちゃんかな。今もしっかりしたやり取りが続いてるの彼女だけだし。お兄ちゃんは?」 「俺は、同期の山里かな。あいつは東京だけど、俺と梓のこと、一番祝ってくれたし、いつ無理言っても聞いてくれるからな。」 「私ね、タイトルの島って南十字星が見えるところだと思ってたの。保がよく行ってた石垣とか。でも、速水さん達は、ここだったんだね。見えないのにね、南十字星。」 「そう言えば、母さんは南十字星見ながら倒れたんだったよな、石垣で。」 「うん、そう。びっくりしたよね、あの時は。」 「母さんの病気を知ってから、覚悟はしてたことだけどさ…。あの時、一番、辛かったのは親父だと思うよ。」 「お父さん、お母さんのこと、すごく大切にしてたもんね。」
/891ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加