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「これから、恥ずかしいこと言うけど、笑うなよ。俺は親父と母さんみたいな夫婦を目指したい。
親父みたいに家族を置いて、ひとりで遠い所へ行ったり、好きなことを勝手にやったりはしないよ。だけど、もし仕事の関係で離れて住むことになったとしても、俺は、梓に全幅の信頼を持って、この家の事任す。親父が母さんを信頼して任していたようにな。それから、梓のことは、今以上に大切にする。こんなややこしい家に嫁に来てくれたんだからな。俺は、裏切る行為はしないし、家族を死ぬまで守り抜くよ。」
「お兄ちゃん、たまに格好良いこというんだよね。普段は、ヨレヨレの中間管理職っ顔してるのに。」
「なんだよ、それ?」
「仕事柄、人様の顔ばかり見て、自分の顔なんてしっかり見ないでしょ。沢山の人に揉まれて疲れてる人が家に癒やしを求めてくるのよ。お兄ちゃんも、そういう人達と変わらない顔してるのよ、仕事から帰ってくるとね。
梓さんとの夫婦の関係よくするならさ、たまにはさ、休み合わせて、ふたりだけで出掛けておいでよ。お父さん達みたいに。」
「ありがたい話だが、お前はどうなんだよ。」
「私?それは、心配しないでよ。私達、365日、ずっと一緒だから、喧嘩しないように気を付けてるし、今もラブラブなんだから。」
珠美の笑顔に嘘はないようだ。
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