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「この本読んで、おじいちゃんのこと、すごく理解できた気がする。
私ね、おじいちゃんが、若い頃、国際通りの近くでお店持ってたことも、東京で長く暮らしてたことも全然知らなかった。だって、物心ついてから、いつでも側にいるのが当たり前だったからだよ。ただの料理好きのおじいちゃんだと思ってた。だけど違ったんだね。
おじいちゃんなりに夢があって、それを叶えようって頑張ってたけど、その道を進めば、南風原の将来を蔑ろにしちゃうかもしれないって、悩んでたんだよね、きっと。」
「おばあちゃんは、おじいちゃんのそんな悩みを知ってるから、ここは私に任せておいてって、女将やって頑張ってたんだよ。
おばあちゃんは、おじいちゃんが大好きだったから、おじいちゃんの夢も南風原も守りたかったんだって、僕は知っているよ。
きっとね、お父さんも一緒だよ。本当は、ホテルの仕事辞めて、南風原を継ぎたかったと思うんだ。でも、みんなをまとめる役職になってたから、簡単に辞められないだろう。悩んでるお父さんに、珠美おばちゃんが、私に任せなさい。自分のやるべきことをやりなさいって、背中を押してくれたんだよ。」
「そうなんだ。」
「速水さんも千秋さんも、僕らが知らないおじいちゃんを知ってる。きっとここに書かれてることって、ほんの一部で、この何倍もの思い出があって、胸に刻んでいるんだと思う。」
「うん。」
「ここはさ、おじいちゃんの帰るべき場所だったんだと僕は思うよ。東京にいた時間長かったのかもしれないけど、こっちに帰ってきて、おじいちゃん幸せだったと思うんだ。
その幸せは、速水さん達がいなかったら掴めなかったものなんじゃないかな。おばあちゃんやお父さん、珠美叔母さんがいなかったら掴めなかったものじゃないのかな。
そしてさ、僕や結愛、双子達がいたから掴めたんじゃないのかな。」
「私達も?」
「そうだよ。」
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