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「この本、僕も読むよ。きっとね、これは、おじいちゃんのことを忘れないであげてって千秋さんからのメッセージ。おじいちゃんに教えてもらったことを無駄にしないでってメッセージ。背中を押してもらったことを形にしなさいってメッセージだと思うんだ。」
保は、そっと表紙を撫でながら結愛に言った。
「結愛…僕が生まれてから、ずっと病院暮らししていたの知ってるよね。」
「うん。今のお兄ちゃんからは、想像できないけど、そうだよね。…私、昔、とっても大きな病院でそこの先生にお兄ちゃんを元気にしてくれてありがとうって言ったよね?」
「うん、言ってくれたよ。」
「僕はさ、そこしか知らない子供だった。幼心に僕の人生は、ここで始まって、ここで終わるんだって思ってた。だけど、お父さんがお母さんと結婚して、僕を息子にしてくれてから、何もかも変わったんだ。東京からここへ来て、おじいちゃんに出会って、僕にとっての帰るべき場所が出来た。
君の故郷はどこ?って聞かれたら、ここだって胸を張って言えるよ。そう思わせてくれたのは、おじいちゃんなんだ。沖縄の良い所も悪い所も、ちゃんと理解出来るまで教えてくれたんだ。
憧れるだけでなく、自分の足で見ること、感じること体験することの大切さ、努力することや継続することの辛さと達成したときの感動をくれたのもおじいちゃんだよ。
だから、おじいちゃんの孫だって胸張って言える様になりたいんだ。」
「うふっ。お兄ちゃん格好いいよ。優香さんが惚れるのわかるよ。」
「胡麻擂っても、何も出ないぞ。」
「そんなのしてないもん。乙女の素直な意見です。」
「じゃ、まあ、ありがたく褒め言葉を受け取っておくよ。」
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