南十字星は珊瑚の島の上•Ⅵ

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保と優香の結婚式までは、まだ2ヶ月ほどあったので、その間に、式場との打ち合わせを何回かやった。打ち合わせでは、式と披露宴のための衣装の確認、引き出物の数とか招待した人達の数の間違いがないかを再度する。 他にもやることは山積みだったが、仕事の合間に精力的に動いた。   「忙しいけど、楽しいね。」 「新しいこと、ふたりでやれるっていいね。」 優香の笑顔に保も笑顔になる。 新居の準備も並行してしなくてはならなくて、更に忙しさは増していたが、それさえも楽しくて仕方ない。 優香の父親が知り合いの不動産屋に頼み込んで、南風原の近くに出来た新築マンションの一室を押さえてくれたおかげで、式までに引越しができることになった。式の1週間前には、ふたりとも荷物を運び込んで、すぐ生活出来るようにした。 2ヶ月は、本当にあっという間でいよいよ結婚式当日だ。朝から、新城の家もバタバタしている。 那覇市内の教会で式をして、レストランをひとつ借り切って披露宴をすることになっていた。これについては、壮馬が段取りを着けてくれた。役職に勤めていたころの人脈は、南風原の経営だけでなく、こういうところでも役に立っている。 「大事な甥っ子の晴れ舞台だから、手を抜けないよ。」 壮馬の言葉には、大切な家族への温かな気持ちが込められていた。
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