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プロローグ
キーホルダー、オープンハートの。
目の前にぶら下げてみる。四ケ月経った今もキラキラ光っている。
「どういうつもりだったんだろう?」
もう何回目かの問いをまた繰り返す。20年以上、いやほとんど30年くらい経ってからもらった、二番目のプレゼント。突き返してしまった一番目のプレゼントを、大地はどうしたんだろう?
「訊いたらいいって話しじゃん、全部。」
親友の声が蘇る。
「さつきのその自問癖、どん詰まりだから。相手が目の前にいるんだから訊きなよ。いつまでもぐっちゃぐっちゃしてないで。」
ぐっちゃぐっちゃ、うん、確かにしている。うんざりするくらい。でもぐっちゃぐっちゃ歴が長ければ長いだけ、踏み出すことから遠ざかる。
「そうだ、丁度いい、」
絵梨花が膝を打っていた。
「イブ、誘いなって。もうこの際、当たって砕けな?」
「ええっ?」
「あの人が独り身でいるイブなんて、金輪際無いかもしれないよ。っていうか、賭けてもいい。」
「いや、賭けないで。」
「行きな、さつき。砕けてこい。」
そう言って背中をバシリと叩かれた。
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