Priceless.

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 その言葉を伝えるだけで限界が来たのか、睡魔に襲われながらも抵抗していたらしい慶一朗がひと際大きく欠伸をした後、色素の薄い双眸が瞼の下に姿を隠してしまう。  アポフィスで何か楽しいことがあるのだろうかと、寝息を立てる慶一朗の肩が冷えないように掛布団を引っ張り上げたリアムだったが、隣から聞こえる穏やかな寝息に釣られて欠伸をし、今日という楽しいことばかりが起きた一日を思い出しつつ眠りに就くのだった。  明日のモーニングは慶一朗の好きなものばかりを用意しようと、友人達が聞けば甘やかしすぎだと呆れる様な事を考えながら。    そしてその週末、アポフィスで慶一朗と待ち合わせをして店に顔を出したリアムは、慶一朗曰くの楽しみに心底驚きつつもそれを思う存分満喫し、今年の誕生日は本当に嬉しいことばかりだと終始顔を綻ばせているのだった。
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