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1st Anniversary.-Duke!-
冬の寒さが夏の暑さへと移行した10月、ふとカレンダーに目を向けたのは、寝るまでのリラックスタイムを、この世の誰よりも頼りになる夫、リアムの分厚い胸板をクッション代わりにテレビを見て過ごしていた慶一朗だった。
カレンダーに視線が向いたのは当たり前といえば当たり前で、テレビを置いているボードには見えない敵を威嚇するフィギュアが整列しているのだが、その背後にカレンダーが置かれているからだった。
今日も今日とてお気に入りの体勢でお気に入りのドラマを夢うつつに見ていた慶一朗だったが、22日に印がつけられていることに気づき、その印が意味する事を思い浮かべるが、健康のバロメーターである艶々している鼻先が太腿に押し付けられた為に印の意味を簡単に思い出すことに成功する。
カレンダーの印は今己の腿に顔を押し付けて甘えているジャーマン・シェパードのデュークが家に来た日を示すものだった。
家に来たのは生後2か月以上経っていると教えられたことを思い出すが、誕生日というよりは家に来た記念日だと己の伴侶であり常日頃デュークに係るすべてを担ってくれているリアムが笑ったことを思い出す。
特別親しい友人や世話になった人、今己がクッションにしているリアムならばともかく、自分を筆頭にその人々以外の誕生日など覚えていないし祝うこともない慶一朗だったが、約一年前に自分たちの親友になるためにやってきた愛犬、デュークの記念日は祝ってやりたいという気持ちになり、その心境の変化に軽く驚いてしまう。
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