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犬を飼わないかと提案された当初、ペットを飼ったことが無い為に知識が無く、それ故に不安を覚えていたが、きっと大丈夫と落ち着いた声で己の不安を包み込んでくれたリアムの顔が思い出され、己のスマホに保存されている写真を元に何かイラストでも描いて貰えないだろうかという思いが唐突に浮かんでくる。
いつだったか、デュークも一緒に向かったキャンプ。
その時、朝日が昇るのを見ているのか、テントの前にハイバックチェア置いてリアムがそこに座り、その横でデュークが並んで座っていることに気付き、寝惚け眼を必死に瞬かせた慶一朗がリアムとデュークに気付かれないようにスマホを取りだしたのだ。
種族を越えた友情が存在することを自然と教えてくれるような穏やかな顔でデュークの肩に腕を回し、デュークもまたリアムの腕の中で安心しきっている顔ーそれは子犬の頃によく見せていた顔だったーでもたれ掛かりながら昇る朝日を見ている写真が撮れ、今それは慶一朗が外出先で心の平安を欲しているときに見る一枚になっていた。
リアムにすら見せたことはない文字通り秘蔵の一枚だったが、イラストレーターか画家に写真を元に絵を描いて貰い、テレビ横の壁か本棚の写真コーナーに額に入れたそれを飾りたいと思ったのだ。
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