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カレンダーに印が付けられたその日の夜、仕事を終えて帰宅した慶一朗をいつものように労ってくれる笑みを浮かべたリアムと、その横で行儀良く尻を床に着けているデュークに出迎えられ、己の為だけに広げられている腕の中に倒れ込む。
「お帰り、ケイさん」
お疲れ様との言葉まで付け、日本では当たり前の出迎えの言葉にただいまと返した慶一朗は、顎髭にキスをし尻尾を振って待ち構えているデュークの頭に手を載せる。
「ただいま、デューク」
もう夕方の散歩には連れて行ってもらったのかと問いかけると、散歩という言葉に鋭く反応をしたデュークが玄関ドアの横に吊しているロープを咥えて戻ってくる。
「今日はもう散歩に行っただろう、デューク」
それを使うのは明日の朝だと笑うリアムの足下に不満そうにロープを落としたデュークの頭を二人揃って少し強めに撫でると、それが嬉しかったのか二人の掌に交互に頭を押しつけてくる。
「メシの用意も出来ているから着替えてきてくれ」
「ああ」
リアムの言葉にリビングのソファを見ると一抱えもある大きな包みとそれよりは小さく薄い包みがあり、己が注文していたものが間に合ったことに気付き、次いでカウンターの上を見ると出番を待ってる料理の皿が並んでいる事にも気付くとリアムの腕の中から飛び出して洗面所に駆け込む。
「ケイさん、これはケイさんが頼んだものか?」
走って行く慶一朗を習性のように追いかけるデュークに苦笑しつつソファに鎮座する二つの包みのうちの一つについて問いかけたリアムだったが、ああという短い返事を貰う。
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