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出てきた慶一朗は自宅では当たり前のバスローブ姿になっていたが、腰紐を結びつつリアムの前にやって来ると、デュークがうちに来て一年になるから記念のものだと小さく笑いリアムが口笛を吹く。
「デュークが家に来てもう1年か」
あっという間だったなと感慨深い声で一年前の光景を思い出しているようなリアムの腰に腕を回し、今日のディナーは何だと問いかけると、自分達はシュニッツェルでデュークはチキンステーキだと笑われ、それは楽しみだと返しながらカウンターのスツールを引くが、以前のようにすぐに腰を下ろすことはせずにカウンターの横にしゃがみ込んで親友のための食事処の準備を始める。
「デューク、メシだぞ」
リアムが自分達の料理の仕上をしたりテーブルセッティングをする間、カウンターの横にデュークのお食事処を整えるのが慶一朗の役目になっていて、デュークの名前が入っているマットの上に高さを調節した手作りの台を置き、そこにステンレスのボウルと骨の絵が描かれている陶器のボウルをセットする。
「今日はチキンステーキだそうだ」
お代わりは出来ないだろうが味わって食べろと笑ってデュークの頭をワシワシと撫でると、デュークの健康のためにサプリを振りかけたチキンステーキをリアムが仰々しい態度でどうぞと器に盛り付け、ついで自分達はこちらだと片目を閉じて皿をカウンターに並べ、滅多に使わないフルートグラスと冷やしていたらしいスパークリングワインのボトルもそっと並べる。
「ダンケ、ケイさん」
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