誕生日クーポン

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誕生日クーポン

「なぁ、誕生日何が欲しかもんある?」 「お前に決まっとーやん…」 あっ…と思った時には遅かった。 絶対に言ってはいけない一言だったのに。 知られてはいけなかったのに。 「はぁ?お前キモッ」 高校2年の秋、ヤラかした俺は親友だと思ってたヤツにゲイだと言い振らされて全てが終わった。 通っている普通高校からは、絶対に行けないレベルの大学を目指し、死ぬほど勉強した。 「はぁ、またこの夢か…」 いい大学を出て、大企業に就職し、はたから見れば順風満帆の生活… 美人顔で、身長もそこそこ。プールで鍛えてる身体。 女性にモテる…が…俺は生粋のゲイ。言いよってくれる女性には申し訳ないが興味がない。 でも…高校の時のトラウマで恋が出来ない。 【お前キモッ】 このセリフが呪いのように俺を縛る。 川辺拳士 25歳 童貞処女どころかキスもない。 「今年の誕生日も一人かぁ…いい加減、童貞だけでも卒業したい…」 ここのところ、検索エンジンに並びっぱなしの【ゲイ専用 デリヘル】 あ…この店…誕生日クーポンだって。 【お誕生日当日に予約を入れて頂くと、ケーキ&シャンパン持参で伺います。3時間まで延長料金無料!せっかくの誕生日、ステキな彼と過ごしませんか?】 俺にピッタリじゃないか?今年の俺の誕生日は土曜日だ。ゆっくり出来そうだ。
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