41人が本棚に入れています
本棚に追加
過去
「じゃあ、とりあえず乾杯だ。拳士くん、26歳の誕生日おめでとう」
うわぁ、いつの間にか準備されていた生クリームのホールケーキとシャンパンとキラっキラのイケメンスマイル…圧倒されてしまう。
「あ…ありがとうございます…」
「じゃあ、何があって君みたいな美人が拗らせてんのか聞かせてもらおうかな?一応、君より年上で経験もある。手伝えると思うぞ?」
その優しい眼差しと圧倒的なイケメンスマイルに、俺は過去の悪夢を初めて人に話した。
「そんなこんなで…恋すら出来なくて…キスすらした事ないんです。おかしいですよね、この歳で…」
俺は自嘲気味に笑う。
「いや…辛い思いしたんだろ?いいじゃないか、今から幾らでも経験できるよ。そんな真っ白な君が俺には…とても魅力的だ。俺の手で汚してやりたいよ」
イッキさんは、ニヤリと笑う。
「うぇっ、そ、そんな…」
「かわいいな、その為に呼んだんだろ?クリーム付いてるよ」
イッキさんは、俺の口元を親指で拭いペロリと舐める。
「ほら、間接キスだ。第一段階突破だな」
シャンパンも手伝って、顔が赤くなったのが分かる。
「ヤベェ、マジでかわいい。拳士くん、ここにおいで?」
イッキさんが自分の膝をポンポンする。俺は逆らえるはずも無く、黙って膝の上に座った。耳まで赤いはずだ。
イッキさんが、俺の腰に手を回しギュッと抱え込むから俺もイッキさんの首に腕を絡める。初めて感じる他人の体温。温かいし、いい匂いがする。
「さあ、どこまでの覚悟が出来てんのか身体に聞こうかな?」
イッキさんは微笑みながら俺の首筋に軽くキスをする。
何かがゾクリと身体を駆け抜け、甘い息が漏れる。
「敏感なんだな…かわいいよ。惚れちまいそうだ」
「ん…流石の俺もそんな営業トークには騙されませんよ?」
「バカ…空気読めよ。今は俺がお前の彼氏だろ?な、拳士…」
首筋にキスされながら、甘く名前を呼ばれる。それだけで、お腹の辺りが熱くなる。
最初のコメントを投稿しよう!