第3話 門の奥は天国?地獄?

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第3話 門の奥は天国?地獄?

私は門をくぐった。先へ先へと進んでいくと、街の人々が沢山の店をだしていた。 『うわぁ〜!沢山の食べ物!!!!』 私はワクワクが止まらなく、どんなものがあるのか見ながら歩いていた。街の人々は人間ばかりだ。 『人間しか住んでないのかな......。』 沢山の食べ物をみて一目惚れした果物があった。 『なにこれ!!美味しそう!!』 「お!お姉ちゃん、それ買ってくかい?」 「あ、そういえばお金持ってない.....。」 「なんだお姉ちゃん、金持ってないのかい。」 「はい.....。なのでやめていきます......。」 「ほれ。これやるよ。元気だしな!」 「え、でもお金無いですよ!?!?」 「一個ぐらいいいさ!持っていきな!」 私はその言葉を聞き、目を輝かせながら、大きな声で、 「「「ありがとうございます!!」」」 私は貰った果物を見つめ、耐えきれず一口食べてしまった。 『.......!』 「にがぁ.......。」 「ははは!お姉ちゃん、そりゃー苦いに決まってるさ!そーいう果物だからな!」 店のゴツい体のした男の人はものすごい笑っていた。 『これ、漫画見た時はめっちゃ美味しそうだったのに......。』 『もしかして、異世界の食べ物あんまり美味しくないじゃ......。』 「お、お兄さんありがとうございました.....。」 私はがっかりしながらあるき出した。 『そっかぁ。思ってたよりまずいものが多そうだな。』 ショックを受けながら歩いていると、目の前には大きい帝国があった。 『うわぁ.......!大きい建物.......!』 上を向き、驚いていると、帝国の入り口前にいる警備員的な人達がこちらをにらみつけている。 『......あそこに関わるのはやめよう.....。』 帝国に背を向け、またたくまにあるき出した。 『うーん。どこに行こうかな......。』 『あ!あの店良さそう!』 そう私が見つけた店は外見が古臭く、人通りがとても少ない場所にあった。 「「「チリンチリーン.......」」」 ドアを開けると鈴が鳴り出し、店中に響き渡る。 「.....すみませーん!......」 声をかけてみるが、店は静かなままだ。人がいる気配もない。 『うーん.....。ここ誰も住んでないのかな。』 「おやおや、誰かね。」 後ろから突然声がし、私はびっくりした。 「うわあああ。びっくりした.....!」 店の前にいたのは、ちっちゃいおばあさんだった。 「ここは私の家じゃけど、なんかようかね。」 「...!あなたのお家だったんですね!すみません。この店の雰囲気が良くて、おもわず入ってしまいました。」 私はオドオドしながら話していた。 「そうかいそうかい。まぁ席へどうぞ。」 おばあさんはニコニコと笑いながら、話してくれた。 「あ、ありがとうございます!」 おばあさんは店に入り、厨房に立って買ってきたものを片付け始めた。私は真ん中のカウンターに座り、ソワソワしながら待っていた。 「何が食べたいかね。なんでも作ってあげれるよ。」 おばあちゃんはニコニコしながらそう話す。私はそう言われ、少しの間考えていた。 「......この世界の名物料理が食べたいです!」 私はそうおばあさんに勢い良くいった。 「そうかい。少し待っててや。すぐ作るから。」 おばあちゃんは腰を抱えながら奥に行き、姿が見えなくなった。 『あのおばあちゃん、腰が悪いのかな......。』 5分、10分、15分と待ち、料理が完成した。 「ほら、できたよ。さっさと食べな。」 私の前に出てきたのは日本で言うグラタンみたいなものだ。 『日本のグラタンと変わりない....。美味しいのかな......。』 私はゴクリっと息を呑み、スプーンを持ち食べ始める。 「いただきます.......。」 私は最初の一口を口に運ぶ。 『.......!』 「美味しい.......!」 『日本のグラタンと変わらないけど、何かが日本のより美味しい!』 私は手が止まらず、次々とスプーンを口に運ぶ。 「そうかいそうかい。まぁまぁゆっくり食べなさい。」 おばあちゃんは嬉しそうに話しながら、こちらを見ていた。 『なんでこんなに美味しいのに人がいないんだろう。』 「おばあちゃん、なんでこんなに美味しいのに人がいないの?」 おばあちゃんは悲しそうな顔でこう答える。 「いやねぇ。近くに沢山お店ができてこの店はもう人が来なくなったんだよ。さっきね、そこの帝国に住んでいる王にどうにかしてくれないかと頼んだんだけどねぇ。もう潰れるのだから、助けても無駄と言われてしまったんだよ。」 『そんな...!酷い王だ!!』 「私もねぇ。店を続けたいんだけどねぇ。腰が悪くなってしもうてなぁ。」 私はその話を聞き、よーく考えた。 『おばあちゃん可哀想.....。私がどうにかしてあげたい.....。そうだ!私がここで料理をすれば良いんだ!』 「おばあちゃん!私をここで雇ってくれない!?」 おばあちゃんは驚いた顔をしていたが、悲しそうな顔に戻っていった。 「雇いたいけどねぇ。あんたに払えるお金もないねぇ。」 「お金なんていいの!なら、この料理の代金、タダにしてくれたらそれでいい!私をここで働かして!」 おばあちゃんは焦っていたが、私の熱意が伝わったのかここで働くことを認めてくれた。 「やった!まだ朝だし、とりあえずこの店を綺麗にしよう!」 私はこの店を綺麗に、そこらへんの新しい店なんかより美味しいものを作りあげ、おばあちゃんを助けることを誓った。
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