第6話 フードのお兄さん

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第6話 フードのお兄さん

お店を開いて2日目。今日はどんなお客さんがくるのだろうか。 「よーし。開店時間だ!今日も頑張るぞー!」 今は朝の9時。おばあちゃんは寝かせて、私1人で下準備を始める。 「「「カランカラーン」」」 ドアについている鈴が鳴る。お客さんが来たようだ。私は鈴の音に気づき、振り向く。 「いらっしゃいませ〜!」 振り向いた先にいたのは、フードを被った男性だった。 『顔は見えないけど、お兄さんっぽいな。』 「入っても大丈夫かな。」 「あ!は、はい!お好きな席へどうぞ!」 お兄さんは無表情で奥のカウンターに腰をかけた。 「ご注文は?」 「.....よくわからない料理しかないな。とりあえず、この店のおすすめをお願いしよう。魚以外でな。」 「お兄さん、魚苦手なんですか?」 「あぁ。あんまり美味しくなくてな。」 「そーなんですね。昨日開店したばかりなのでおすすめというおすすめはないんですけど、このシチューというのはいかがですか?」 「シチューとは何なんだ。初めて聞くな。」 「シチューとは、心が温まる料理.......ですかね。」」 「......それで良い。」 「かしこまりました!!」 私は注文を受け、厨房に戻った。シチューの材料を取り出し、作り始めた。 『鶏肉、じゃがいも、たまねぎ、人参.....かぼちゃも入れるか。牛乳、小麦粉、水......こんなもんか。よし、さっそく作るぞ。まずは野菜と鶏肉を食べやすい大きさに切って、油を引いた鍋にいれてよく炒める。炒めたら火を止めて、小麦粉をふるい入れる。全体に小麦粉がなじんだら、牛乳と水を入れ、軽く混ぜる。とろみが出るまで混ぜる。とろみがついたら、弱火で煮込んで塩胡椒をかけて完成!』 「おまたせしました!シチューでございます!」 私はお兄さんの目の前にシチューをおいた。 「どうぞ、召し上がれ!」 お兄さんはスプーンを手に持ち、シチューを口に運んだ。 『どうかな....。久しぶりに作ったけど。』 「.......美味しい。こんな美味しいご飯は初めて食べたぞ!」 お兄さんは無表情で言っているように見えたが、頬を赤らめて少し嬉しそうな表情だった。あまりの美味しさに涙を流してくれた。 「美味しいなぁ。母を思い出すよ.....。」 お兄さんはスプーンを手から離し、シチューを完食した。 「また食べに来ていいですか?」 「いつでも食べに来てきてください!」 お兄さんはフードを被ったまま店を出た。 『お兄さん、顔が見えなかったな。今度来たとき見れるかな。』 洗い物をし、次のお客さんを待った。待っていると、奥の方からおばあちゃんが出てきた。 「言い忘れてたんじゃが、明日すぐ近くにある帝国で祭りがあってのぉ。ここの店も料理を出すことになってるんじゃ。急じゃが、明日料理を出しに行ってくれないかのぉ。」 「明日ですか....。大丈夫ですよ!まだ開店したばかりでお客さんも来ませんし。明日私だけで行くので、おばあちゃんは店で休んどいてください!」 「そうかい。じゃあ任せたぞぉ。」 おばあちゃんは腰を抱えながら奥の部屋に戻っていった。 『帝国の祭りか。なんの料理を出そう。迷うな〜。』 そんなことを考えているともう日が暮れてしまった。 「今日のお客さんは一人だけか。まぁまだ最初だからなぁ。よし!明日はお祭り!お客さんを増やす絶好のチャンス!頑張らないと!」 私は自分の部屋に戻り、明日出す料理を考え始めた。 『やっぱり、ハンバーグはいるかな。ん〜、カレーもいいけどな〜。シチュー......。もぉ〜どれが良いのよ〜!』 私はムシャクシャし、頭をわしゃわしゃした。 『真剣に考えよう。主食となるご飯、ラーメン、パンを使った料理にしよう!ラーメンはあっさりとした塩ラーメンにして、ご飯は......ん〜........寿司にしよう!パンはサンドイッチにして出そう!よし、この3品にしよう!明日の下準備をしとこ。』 私は厨房に行き、明日の下準備をし、冷蔵庫に収めた。明日の準備を終え、お風呂に入り、晩御飯を食べ、ベッドに腰をかけた。 『ん〜、帝国っていったら王様とか、王子とかがいるのかな。漫画の中の通りにストーリーが進むなら、あのイケメン王子がいるはず!あぁ早く会いたいな〜〜〜〜!』 そんなことを考えていると、眠りについていた。
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