コンサートに行く

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コンサートに行く

 会場前の高精細3Dデジタルサイネージからは、AVANTのロゴと、MUSICOLOREというコンサートタイトルが空中に飛び出し踊り狂っていた。 「どんな音楽かしらね、ムジコローレって」 「楽しみだな。アバンの新作、久し振りだし」  音楽進歩主義者グループの中ではトップスターのアバンだけに今日のチケットは完売である。私とパートナーは入場の長い列に並んだ。 「それにしても随分こじんまりとした会場ね。アバンならこの3倍でも埋まるわ」 「今回はノンPAらしい。だからこれくらいのハコじゃないと後ろの席が聴こえない」 「まあ、生音?」パートナーは眉をひそめた。「音楽原理主義者みたい」 「しかし中身は画期的だそうだ。原理主義の連中が爆弾テロを予告するぐらいにね」  私はホールに沿って立っているポリスロボットたちを指で示した。  だがパートナーは、怯えるどころか期待に微笑んだ。警備がものものしいほど、演奏が革新的だという証拠だから。
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