街のパン屋さん シュシュです。

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街のパン屋さん シュシュです。

ここは、のどかな街の隅にある小さなパン屋さんのお店 シュシュ フランス語でお気に入りって意味なの。 祖父が開店して、祖母と一緒に大切に守ってきたお店で、私にとっても大切なお店なの。二人が作るパンは、この街で一番とってもおいしくて、遠くの方かからわざわざ訪ねてきてくれるお客さんもいるくらい。 お店自体はとても小さいから品数も少ないのだけど、二人の愛が詰まったパンを食べれば、みんな幸せになるはずよ。 あ、店のことはいいから、私はだれかって? そうそう自己紹介がまだでした。 私は、ハルと申します。祖父母が営むパン屋で看板娘として働いているの。私の父母はいないの。パンの配達中に不幸な交通事故に巻き込まれたと聞いているわ。確か、私が3歳の時だったかしら。 年齢?女性に歳を聞くのは、野暮ですよ。でも、あなたには特別ですよ。 18歳です。この春、祖父母が頑張って入れてくれた高等学校を卒業したばかりなの。 あら、あなたはここに初めて来たのですね。 この街のことを少し紹介しましょうか。 ここは、クリス伯爵の領地の中の一つの街 ポーラ 隣国とやり取りをしている王都の商人が一休みするために寄っていくことが多いの。ポーラは王都から少し離れた場所にあるけど、商人によって王都の情報はすぐに伝わるし、宿屋も多いから商売もしやすい。街はずれには農家の人たりが住んでいるけど、ここの街の人達はみんな優しいから農家であっても適確なやり取りをしてくれるって、農家のおじちゃん、おばちゃんが言ってたわ。 私は生まれてずっとこの街にいるし、他の街とかに行くことは数えるほどしかないからあまりわからないけど、この街のことが大好きよ。 これも、民のことを考えてくれるクリス伯爵様のおかげね。おじいちゃんが言っていたわ。
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