3人が本棚に入れています
本棚に追加
「これ、あげる。昨日のお礼。」
「何、くれんの?」
コウにクッキーを手渡す。
「じゃあ、遠慮なく。」
コウがその場で袋を開けて一口クッキーを食べる。
「なんで、今。ここ、仮にもレジだし、同じ商品売ってるのに。」
「ほかに客いねーし、いいだろ。」
なんだか、目の前で自分のクッキーを食べられるのは恥ずかしい。
ガチャッ
厨房のドアが開いた。
「あら、コウくん、こんにちは、いらっしゃい。」
「お邪魔してます。」
おばあちゃんが出てきた。
「昨日はありがとうね。クッキーもらった?」
「今もらって食べてます。」
「まぁまぁ、それ、ハルちゃんが作ったのよ。お店に並んでるのは私が作ったけど。材料は同じだけど、心がこもってるでしょ。」
「ちょっと、おばあちゃん!!」
「ふふ、ごゆっくりね。」
おばあちゃんは、タイマーが鳴った音で、また厨房に戻っていった。
コウとまた二人きりになったが、おばあちゃんがあんなこと言うから、なんとなくコウト目を合わせづらくなったじゃん。
「昨日のお礼ってだけだから。それより今日どうしたの?買い物?」
「様子見に来たんだよ。昨日の今日でまさか働いてるとは思わなかったけどな。ばかハル」
「ばかって言わないで。ちゃんともう元気になったし、無理してないし。」
「ほんとか?」
おでこにコウのひんやりした手が当たる。思わず、固まるがすぐに手をはねのける。最近、コウの行動が心臓に悪い。ドキドキする。
最初のコメントを投稿しよう!