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そんな話しをしていると
「失礼します」と板長の声がした。
「若女将、朝メシから何も食ってませんよね?さっきのチキンと賄い、調理場に用意してあります。どうぞ」
「そうだった!食べてなかった!
いただきます。えっ?チキンも?」
と板長を見ると、机の上の本を手に取っている。私が買ったケーキの本だ。
「これ、俺もらっていいっすか?来年の為に…」
板長が照れ笑いをしながら本を掲げている。
来年の為か…。
「女将…来年も智也君来てくれますかね?」
恐る恐る聞いてみた。
するとゆっくり頷いて
「来てくださいますとも」
「ほら、佳美!チキン冷めちゃうぞ!」
翔真に急かされた。
女将が笑ってる。板長も笑ってる。
そして何より大好きな翔真が笑ってくれている。
私はその大切な人の笑顔と一緒にイブを迎えられた事、それが最高のクリスマスプレゼントだと思えた。
何だかわからない出てきた涙を隠す様に…
「チキンいただきまーす!」
と叫んで調理場に向かって全力で走り出した。
最高に幸せな
クリスマス前夜ダッシュ!
完
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