Christmas Dash!

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窓の外にはもう街の灯りはない。その窓に映っている自分に問いかけた、全力出し切った? そうじゃない!お食事には間に合わないけれど、まだ出来る事はある! 鬼怒川温泉駅に着いた。私は本屋に駆け込み1冊の本を買った。 「帰ってから作ろう…はじめから作るのを諦めた事のバチが当たったんだ!」 私は本を抱え鬼怒川の温泉街を走っている。 急がないと! クリスマス ダッシュだ! 「ただいま!……あれ?誰もいない…」 帳場には誰もいない。とにかく智也君に謝りに行かなくちゃ。 私は階段を駆け上がり、松島様がご宿泊の部屋の前に辿り着いた。息を整えて扉を開けようとすると、中から笑い声が聞こえる。翔真の声もする。 「失礼いたします…」 私は正座をして左手で恐る恐る襖を開けた。 「あら、若女将。お帰りなさい」 女将が私に気付き松島様に紹介をしてくれている。 その声に被さる様に元気な男の子の声がした。 「お姉ちゃん、ありがとう!」 「えっ?」 料理の真ん中にはあのケーキが置いてある。 翔真が耳元で 「佳美、うちの事話したろ?だから届けてくれたんだよ」 「えっ?どういう事?」 「今市からは車で20分だよ、佳美の鈍足より早く着くだろ」 鈍足とはなんだよ!と翔真を睨むと。 「失礼いたします」 と男性の声がした。見ると板長だった。手には料理が乗ったお皿がある。 「こちらで揚げたフライドチキンです。クリスマスですので、ご子息様にどうぞ」 私は驚き女将と顔を見合わせた。 「米粉ですか?わー智也、これならたべられるね?」 松島様は大変喜び、智也君は直ぐに頬張って美味しいとはしゃいでいる。 「では…」 無表情で松島様に挨拶をして襖を開ける板長の顔を見た時、微かに笑っている様に見えた。
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