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松島様の部屋からおいとまをして帳場に着いた。
力が抜けて机に凭れかかってしまった私に お義母さんが。
「若女将の姿を見てさすがの板長も動かざるを得なかったのでしょうね」
「だと嬉しいんですけど……でもあのチキン美味しそうだったなぁ」
「そっちかい!」
翔真が突っ込むとお義母さんも呆れて笑っている。
「あれっ?電話…相澤君だ!」
「ちゃんとお礼を言えよ!」
と言う翔真に頷き電話に出た。
「相澤君?今日はありがとうね…。ってかさあ!副店長が電話してる場合じゃないよね?大丈夫なの?店!わかってるよね明日からはスーパーの1年の通信簿!」
「ハイハイ、その声が聞きたくて電話しただけです。これから栗きんとん並べますぅ」
と言って電話を切った。
翔真が不思議そうに聞いてきた。
「通信簿?」
「そう、年末年始はどの家庭も一番のお料理を用意するでしょ?その一番大事な買い物をどの店でするか…その時に選んでいただける店かって事。だから通信簿」
「へぇ~」
それを聞いて女将が言った。
「若女将、じゃあ私達の仕事の通信簿は何だかわかる?」
翔真と顔を見合わせた。
「それはね、今日帰ったお客様と又お会い出来たら、今日のおもてなしは合格って事」
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