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お帰りのお客様をお見送りして店に電話をした。 調べてもらった結果は何処の店にも無く、あるのは東京都下の私がいたスーパーだけだった。
「女将、私やっぱり取りに行きます。今からダッシュで行けばどうにか間に合います。ただ長時間留守に…」
「いいわよ、行ってらっしゃい。その子、智也君て子なの。私もあの子が悲しむ顔を見たくないから……。お願いね」
優しく包みこむ様な微笑みを向けてくれる義母。私もこんな女将になりたいと心から思った。
「あっ、社長は吉武の病院に行ってしまったから駅まで調理場の茂さんに送ってもらいなさい。そうすれば早目のスペーシアに乗れるでしょ」
「はい!ありがとうございます」
急いで支度をしながら店に電話をして取りに行くと伝えた。そして調理場に行き茂さんに頼んだ。
板さん達に何処に行くのか聞かれた。
「東京にケーキを取りに行く!」
皆は驚いた顔をした。そして小さく舌打ちが聞こえた。私は板長だとわかったが顔を見ずに調理場を出た。
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