Episode【 Ⅰ 】

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Episode【 Ⅰ 】

「……それは本当か!?」  椅子が倒れるほど勢い良く立ち上がり大声を出しているのは、天空(そら)の騎士団長を担うリヴォーク団長である。リヴォーク・ガナッツェ、青い髪に吊り上がった目元、そして何より額から右頬にかけての傷跡は見る者皆を畏怖させた。その傷は、10年前に起きた大戦乱で、相手軍のボスを討ち取った名誉ある傷だからである。その戦いでリヴォークは騎士団長へと昇格したのだ。普段は冷静沈着で声を張り上げるのは訓練兵と剣を交えて一喝している時ぐらいだ。そんな彼が驚くのには、訳があった。 「俺の家には代々伝わる古書伝がある、それと同じものだと言う事は……1000年前滅んだイラブ帝国の王女ということになるんだぞ……そんな話、嘘だと思っていたんだが……」  リヴォーク団長の家系は、1000年前に滅んだイラブ帝国の王である、ガゼル王に仕えたリヴェリという側近の末裔であった。リヴェリ・ガナッツェというのが本名で、彼もまた同じ姓を持つ人間なのだ。
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