Episode【 Ⅰ 】

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「本にはフェレーベル・ガナッツェとある。家系図を見るにリヴェリという男の母親だろうと思うが……」  リヴォークは顎に手を起きながら窓辺の傍を行ったり来たりと落ち着かない様子で動き回る。 「もしそれが本当なら……」  リヴォークは数分ほど歩き回って居たものの、倒れた椅子を元に戻し、散らかった書類を種類別に分けた。そして開かれていた黒いカーテンを閉めると、彼は精霊の分身を手に乗せた。 「案内してくれ。この目で確かめてみたい」  精霊の分身は頷いてすぐ、リヴォークが転送の部屋に入ったのを確認すると頭から足までらせん階段のようにぐるぐると回った。すると何も無かった足元に魔法陣が現れ、青白く光り出す。魔法の大きさで力による圧の風が吹き、リヴォークは服をバタバタはためかせながら目を閉じた。 「天空(そら)の大樹、命のエデンへ連れて行け」  そう口にすると、光の中にリヴォークは消え去った。  そして直ぐに精霊と共に木々の間から光の溢れる森の中へと到着する。
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