Episode【 Ⅰ 】

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「……だーれ?」  少女の声は、鈴の音に似て穏やかな春風の温かさにも似た美しい声だ。リヴォークは目の前に立つ少女の手を取り、その顔を見つめた。肖像画でしか見た事のない少女の母、リアンヌにとてもよく似ている、そう思った。  少女は自分を見つめ続けるリヴォークに首を傾げ、いつまでも握られたままの手を見た。 「……ハッ! も、申し訳ありません! 王女様ッ!」  あまりの美しさに見惚れていたリヴォークは咄嗟に手を離し、一歩下がった。そして跪き、彼は心臓付近に拳を寄せて頭を下げた。 「王女様、お目覚めするのをお待ちしておりました。私は天空(そら)の騎士団長を勤めるリヴォーク・ガナッツェと申します。私は貴方様のお父上、ガゼル王の側近でありましたリヴェリの末裔でございます。貴方様は──ッ!?」  長々と話すリヴォークを覗き込むように見ていた少女は、突然顔を上げた彼と距離がとても近くなっていた。お互い覗き込まれているとも、顔を上げるとも思わなかったため、驚いてしまい──。 「王女様ッ!!」
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