『西から昇るもの』

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「すごいすごい! よく考えたね! モロゾウくんの背中に乗って、アタシを一気に襲おうって作戦ね!」 道化女は俺たちよりさらに10メートル程上に浮かびながらキャハハと笑った。 相変わらず癪に障る。 「モロゾウくんの背中に乗るのはすごいけど、元々あのスワンプシングの集合体なのよね…? 少し考えたら無謀ってコト、わからないかなァ?」 道化女はそう言って大きな杖をぐるりと回した。 そして暴れ回る魔象に向けると、そこからピンク色の何かのエネルギーを放った。 俺たちは警戒しながら、その光線に当たらないように身構える… 「…サトル、おそらく奴は俺たちを捕らえるつもりだ。元々この象の化け物はあの泥人形だからな。」 「あぁ。わかってる。回転をかければこの間合い、いけるか?」 スラッグは俺の左肩に出している小さなアタマを動かし、無言で頷いた。 そしてピンク色の光線が魔象を包み込むと、俺たちの足場にしている背中がドロドロに融解を始めた。 そしてそこから無数の触手が現れ、俺たちに向かって高速で伸びてきた! 「スラッグ、行くぞ!」 俺は足に向けていた回転を強めた。すうっと体が浮き上がり、俺は上空の道化女に向かって体を伸ばして跳んだ。 そして体をひねり、全身を回転させ始め…今度はスラッグの体を両手に移動させた。 その先端がたちまち鋭利で硬いドリルに変形し、俺たちの体は一本の巨大な回転体となって一直線に敵のルーラーへ突撃する。 「モロゾウ!止めるのよ!」 ヒステリックに叫ぶ道化女。 次々と伸ばされる触手は、象の姿から融解・融合し、やがて複数の巨大なミミズのような姿になり俺たちを捕まえようと攻撃を仕掛けてくる。 …だが、俺たちは迫り来る触手を次々とねじ切り、さらに上空へと逃げる道化女を追尾する。 相変わらず目が回る攻撃だが、スラッグが俺の脳の揺れを吸収し限りなく三半器官を水平に保ってくれているので、耐えられる。 慣れてきた事もあるが、この形態になった俺たちは多少の攻撃では止まることは無い! 「くっ…! ナイト!!!」 道化女が叫び、杖をかざし光を放った。 その閃光は一瞬、俺たちの目をくらましたが、それでも回転は止まらない。 だが、今まで次々と穿ち切っていたミミズがうねうねと道化女の前で集まり、それは高速で変形してたちまち巨大な楯の形になった。 「…それで止められるかな?!!」 俺たちはさらに回転を強め、両腕に岩魔人の力を集め、こちらもさらに硬度を高めた。 そして俺たちのスラッグドリルと、道化女の巨大な楯がぶつかり合った。
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