5人が本棚に入れています
本棚に追加
/82ページ
序
それはずっと独りだった。
生きることも、死ぬこともない。
それはただ静かに観察し、ただ静かに音を聴いた。
時々、空腹を覚えると近くに浮かんでいる光を食した。
そして無限の時間と空間、境界線と虚無の中、何万年もの時を存在し続けた。
遠くで、近くで、星が生まれ、星が消える事を観た。
遠くで、命が生まれ、命の消える声を聴いた。
そして…
それは、「力」を見つけた。
力は、今はまだ弱い光だった。
しかし純粋な、大いなる「力」だった。
その力を手にしてから幾星霜…
それの目の前に、美しく、そして逞しい光の渦が見えた。
これはどこか、遠い昔の記憶で聴いた、太陽系という場所だ。
それは、大いなる力を手にし、ついに巨大な殻から出た。
太陽系の片隅の、辺境の星々。
その中でひときわ輝く、美しい水と緑の星。
…そしてそれは、太陽系に「力」を解き放った。
これは、ひとつの可能性の物語。
生まれて死んで、また産まれる物語。
何を犠牲にしても叶えたい願い。
そのために戦う道を選んだ、夢幻の戦士たちの物語。
最初のコメントを投稿しよう!