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あれ、君どうしてこんなところにいるの? 下校の時刻はとっくに過ぎてるでしょ?
もう夜も遅い。見てごらん、窓の外は真っ暗。灯りもないのに、学校に女の子一人なんて不用心過ぎるよ。
ああ、忘れ物を取りに? どんなに気をつけてても、ついうっかりってあるよね。お疲れ様。そうそう、提出するプリントを忘れるとあの先生うるさいもんね!
ほら、もう帰るよ。なに、そんな顔して。
おいで。僕が一緒に行ってあげる。遠慮なんかいらないよ。こんなに暗いと、危ないでしょ。
なんで時々後ろを見てるの? え、この学校の七不思議が怖い? 夜の廊下を歩くと、上半身しかない男が追いかけてくる?
そんなもん、いるわけないでしょ〜。
足を引っ張るプールの手に、開かずのトイレ。手招きする鏡の人影、理科室で踊る骸骨に、グラウンドを走る足首。どれも根拠のない噂さ。みんな面白いように話を広げてしまうからね。
あ、でも屋上の話は本当らしいよ。
あれ、知らない? 屋上はさ、いつも施錠されてるでしょ。あそこで昔ね、落下事故があってね。うーん、本当に事故かはわからない。いじめの噂はあっても学校側が非協力的でね、みんなの進路に関わるからって。
でもその後から、学校からいじめが綺麗さっぱり消えてね。ああ、ごめん、少し語弊があるかな。もしいじめが起きても、すぐに無くなるのさ。なぜかね、いじめの首謀者は毎回ここがおかしくなって転校するらしいよ。
はい、正面玄関! 靴はあるかな。じゃあ、僕はここまで。
どうか、君はこのままでいてね。あんな奴らのように、人を笑って踏み潰す人間にならないで。
えっ、よく聞こえない? いいのいいの、独り言さ。
きっと明日には教室がすっきりしてると思うから! 爽やかな良い朝になるよ!
それじゃあ、気をつけて帰ってね!
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