同級生

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 こーくんが、めちゃめちゃ気まずそうな顔でこちらを見てくるので、こちらまで気まずくなってしまう。そんなに僕に会うの嫌だったのかな……。  日向はそう思い、胸がズキズキと痛む感覚を覚えた。心がパンクしてしまいそうな、そんな感覚が彼を襲う。 「今日は、よろしくね」  日向が目線を合わせそう言うなり、古都はその視線から逃げるように、静かに目を逸らす。 『え、なんで?』  日向は慌てながら、古都の顔色を伺った。久々に会ったものだから、もっとテンションが上がっていいと思っていたのだが。むしろ、日向はそんな気持ちで来たのだが。古都は違う思考だったらしい。  気まずい空気が流れる二人の間に、割り込んできたのは古都のマネージャーの彩華。日向は、彩華にも一礼する。 「初めまして。西原さんも、今日はよろしくお願いしますね」 「こちらこそ、初めまして! 古都さんなんだか気まずそうな顔してますが、これが通常運転なので、あまり気にしないで下さいね」  さっきの会話を見てたらしい彩華の一言に、日向もニコッと応えた。 「高校の時から、こーくんはあんな感じです」  彼は、高校時代の古都を思い出してクスッと笑った。彩華は「そうなんですね!」と自分の知らない古都の一面に驚く。  彩華と日向が楽しそうに談笑する様子を、古都は静かに、気付かれぬよう遠目から見ていた。自分のマネージャーと、楽しそうに話す小説家に対し、古都はあからさまに大きなため息をつく。 『きっと、日向と会うのはこれで最後だ』  これは、一時の辛抱なのだ。そう自分自身に言い聞かせていないと、本気で、撮影を投げ出してしまいかねない。古都は、この撮影が終わってから、もう日向に会わないと信じたーーー否、願った。  次会うようなことがあれば、古都は問答無用で仕事をストライキするだろう。それくらい、古都は日向に会いたく無かった。会いたくない理由があった。  そんな古都の心境を日向は知らないようで、ただ呑気に笑っていた。そして、時折古都の方を見て遠慮がちに微笑むのであった。
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