花火が咲く頃、君は微笑む

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花火が咲く頃、君は微笑む

「……私も好きだよ、君のこと」 彼女は満面の笑みで、そう告げた。 ………途端に、大きな花火が上がった。 ぽかんとして、固まったようになった僕に、彼女は笑いながらこう言った。 「何固まってるの 私、会ったときから好きだったんだから」 僕は思わず笑みがこぼれてしまった。 「……ありがとう」 自然と、そんな言葉をこぼしていた。 彼女は笑って「いいえ」と答える。 彼女と僕は、目を合わせた。 花火は上がり続け、僕らと夜空を照らしていく。  彼女は僕に目配せをして。 そっと、キスをした。 初めてのキスの味は、甘酸っぱいオレンジの味がした。  蝉の声が聞こえる花火大会の中。 火照った顔を見合わせて。 僕は、最初で最後の恋をした。
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