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「どうして、そんなふうに言うの……」
外山くんは俯くだけで、何も答えなかった。
微かに震える睫毛が瞳に影を揺らめかせる。
外山くんもどこかの真っ暗闇にいるのかもしれない。
そこから抜け出せず、迷っているのかもしれない。
それなら私はその手を引っ張り、違うところへ連れ出したい。
外山くんが私を助けてくれたように。
けれど、私のような馬鹿な犬にいったい何が出来るだろう。
こんな無力な私に、何が――。
「パレットに出した絵具、使いきっちゃおう」
外山くんは何かを振り切るように言い、微笑んだ。
きしきしとした、硬い笑顔。
その痛々しい笑顔に私も微笑み返す。
そうしないと、なんだか外山くんを傷つけてしまうような気がした。
外山くんは絵具のかたまり塊りを、ぽとりと画用紙にのせた。
画用紙がちいさかったのか、絵具が多かったのか。
画用紙の上はたっぷりの絵具で照り輝く。
まるでペンキをひっくり返したみたい。
多かったね、と苦笑する外山くんはさっきよりは自然な笑顔だった。
時折聞こえてくる花梨ちゃんの笑い声をBGMに、二人で黙々と絵具を塗り広げる。
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