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それは見世物小屋
雲一つない、スコーンと抜けるような晴天。
風はひんやりと冷たいけれど、やわらかな陽射しが気持ちいい。
いつもなら気が滅入るような休日の人混みも、いくぶんか不快感が軽減する。
もうすぐ来るかな、と辺りを見回すと、人波を搔き分けながら小走りでこちらに向かってくる花梨ちゃんの姿を見つけた。
「理香ちゃん、待たせちゃってごめんね」
「ううん、私もさっき来たから。
どうしたの、そのバッグ」
華奢な腕に抱えられている大きなボストンバッグ。
ヘアアイロンの先端のようなものが、ファスナーの端から飛び出している。
「友達の家でお泊まり会するの。
さっちゃんは本当はたぁくんのところに泊まるんじゃないかって疑ってるんだけど、今回は本当に友達の家。
さっちゃんは過保護なんだから」
今回はという部分は聞かなかった振りをして、私は微笑む。
花梨ちゃんはとても素直。
花梨ちゃんを見ていると、周りから愛され、素直に育ったのだろうな、と思う。
のびのびとしていて屈託がない。
「たぁくんとは喧嘩中だから、泊まりなんてあり得ないのに」
「喧嘩? どうして?」
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