それは見世物小屋

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「だってね、たまには俺以外の男とも遊んできなよ、信用してるから大丈夫、とか自分から言い出したくせに、いざ遊びに行ったらそいつと遊ぶ方が楽しかったんだろとか言い出すんだもん。面倒くさいよ 」 「それは……」 それは確かにどうだろう、と思ったけれど、火に油を注ぐ気がして口をつぐんだ。 それに自分が彼氏を悪く言うのと、人から彼氏を悪く言われるのとでは、まったく違うだろう。 唇をツンとさせる花梨ちゃん。 怒っている姿も、かわいい子はいつだってかわいい。 「たぁくんのそういう、人を試すみたいなところ、本当にやめて欲しい」 「試す?」 「たぁくんはそうやって、試してるんだよ。 私がどんな反応をするのか。 そんなことないよ、たぁくんが一番だよって言わせて、そうやって自分を安心させたいんだよ」 「そんな……」 これじゃ別れたくなるよ、と花梨ちゃんは呟いた。 元気のない花梨ちゃんをはじめて見た。 どう励ましたらいいだろう。 「あ、さっちゃんはそういうタイプじゃないから。安心してね」 急にパッと明るい顔を向けられ、私は「……うん?」と間の抜けた返事をした。
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