それは見世物小屋

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安心してねと言われても、外山くんと私が花梨ちゃんとたぁくんのような関係になることなんてない。 外山くんにはもっときれいで、もっと多才な子の方が似合う。 「花梨ちゃん的には、外山くんはどんなタイプなの?」 「さっちゃんはね、奉仕タイプ。 頼まれたら断れないような、要求された以上のことをしようとするような、そういうタイプ。 この前も、お店みたいなフレンチトーストが食べたいって言ったら、ふわっふわのフレンチトーストつくってくれたの。 生クリームと苺とラズベリーもつけて」 奉仕タイプ――すとん、と腹に落ちる。 確かに外山くんなら相手に尽くしそう。 本人には尽くしているという自覚はなく、尽くしそう。 「ところで……理香ちゃんは、今日は他に何か用事はある?」 「私? 何もないよ」 花梨ちゃんは大きな瞳をぱぁっと輝かせ、口元をほころばせた。 どこか買い物にでもつき合って欲しいのだろうか。 「そろそろお店に向かおうか。 予約してくれたお店、交差点を渡ったところの二階だよね。 私、アフタヌーンティーってはじめてだから楽しみ」 「あ……ちょっと待って、理香ちゃん」
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